全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会

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会長挨拶

ご挨拶

冨永美和会長 今だからこそ「つながり」がもたらす力を信じて

日頃より全知P連の活動にご理解とご協力をいただき、ありがとうございます。
第35代(令和6年度)全知P連会長を務めることになりました、都立小金井特別支援学校PTA会長の冨永美和と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

3人の子供がおりますが、子育てのほとんどの年月を海外で過ごしてきた中で、各国の日本人学校や現地校のPTA活動などに携わってまいりました。それぞれの活動は実にユニークであり、日本のPTAとはまた違った多様な方法で子供達を支えておりました。機会があればお話しできたらと思います。息子の障害を受容していくプロセスの中で初めて特別支援教育を学び、受け止められない辛い想いと葛藤しながら、自分の子供だけを見ていくだけでは学びとしては足りないと考える様になり、特別支援学校でボランティアをはじめました。同時にイギリスの大学の資格取得プログラムで学校の支援員資格(Supporting Teaching and Learning in Schools)を取るための勉強をし、終了後、勤務校に正式採用されました。その学校では自閉症、知的障害、重複障害、強度行動障害を持った子供たちと関わり合い、マカトン法を日常的なコミュニケーションに取り入れ、ABA、TEACCH、PECSを用いた授業に携わりました。改めて考えさせられたことは、子どもの障害名に対応をする学びを施すというよりは、個々と向き合い、個々を見るのだということでした。そこで培った貴重な学びと経験を基に、さらに特別支援教育に携わっていきたい想いがあり、日本に戻った今、現在はPTAに携わりながら、教員免許を取るべく日本の大学に戻り、学びを続けております。

昨年度は東京都知的障害特別支援学校PTA連合会の会長として活動の場をいただき、また、全知P連副会長として、東京のみならず全国の皆様とお知り合いになれたことは、かけがえのない宝であると感じております。また、皆様との繋がりから得たられた多くの学びは、大変貴重なものになっています。都知P連の活動、単位PTAでの活動、地域での活動を通して改めて実感したことは、「つながる」ことが障害を持つ当事者とその家族にとっての要であるということです。つながりは安心をもたらすと共にと勇気が湧きます。障害を抱える子供たちと親が抱える不安や恐怖を乗り越えていく力になります。つながりの場や機会を提案し、提供し、各都道府県で行われている活動を全国に共有していくことは全知P連会長の役割の一つであると考えております。

令和6年度、東京都の出生率が0.99との報道がされ、少子化を叫ぶことさえも時すでに遅い感が否めない昨今、簡単にさまざまな情報を得ることができる便利さとは裏腹に、育児は孤立しがちであり、障害を持つ子供を育てることはさらにその孤立を深めることもあります。私自身も息子の障害を受け止めるには長い時間がかかりました。マラソンに勤しむことで一人の時間を確保していた時期もあります。私にとって走ることは頭の中を空っぽにし、些細な悩みが飛んでいく様であり、逃げ場でした。そんな精神的に苦しい時でも、自分と同じ様に子供に障害がある親とのつながりは、一人じゃないのだと安心するとても貴重なつながりでした。他愛のない話を聞いてもらい、愚痴をこぼし、共感しあうことで安堵を覚えました。冒頭にお話しいたしましたが、子供が持つ障害を見るのではなく、個を見ていくということ、そして親にとってもつながりは大事であり、皆で支え合っていくことを実現できる様、PTAの活動が心の拠り所になる様、活動を進めてまいりたいと思います。

全国の知的障害教育校とその会員の皆様がつながりを感じ、安心感をもって子供たちを支えていけるような環境を促進し、全国で行われている活動を共有していくことは、知的障害教育の発展向上、福祉増進、会員同士の親睦を深めていくために必要不可欠なことです。関係機関の皆様とのつながりも大事にしながら、子供達の今、そして近い未来から遠い未来の安心と幸せを願い、全知P連としてどのような取り組みができるかを考えながらこの一年、皆様に発信してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

令和6年6月28日